キネシケア 10キネシケア最後の治療では、 「運転する」を調整した。 運転免許を取ったのは、 25歳のとき。 セオリーも実技も一発合格。 運転することに何の躊躇もなかった。 当時はモントリオールにいて、 メトロ(地下鉄)のそばに住んでいたから 運転する機会がないまま10年が過ぎた。 結婚して子供が生まれて 郊外に引っ越して、 やっと運転を始めたのだ。 運転に慣れてきて、 一人で運転するようになったときに、 体に異変が起こり始めた。 体が極度に緊張したり、 体が震え出したりするのだ。 何度も運転していれば 症状も落ち着くだろうと 積極的に運転していたのだが、 症状はひどくなるばかり。 運転中に一瞬だけだったけど 意識を失ってからは、 怖くて運転できずにいた。 高所恐怖症の症状に似ているなと 自分では思っている。 高い場所は怖くないけど、 体が過剰に反応するのだ。 ひどいときは足がすくんで 立っていられなくなってしまう。 運転中も同じ。 自分は運転を楽しんでいるのに、 体はガチガチになってしまう。 筋反射を取ったら、 「運転する」はONだけど、 「一人で運転する」はOFF。 私は本間先生に 子供の頃の記憶を話した。 私が小さい頃に住んでいた家は、 緩やかなカーブの内側に立っていた。 そこは急な坂道で、 家が死角になって 事故がよく起こっていた。 まだ携帯電話のない時代だったので、 事故当事者が警察に連絡するために 我が家に電話を借りに来ていたのだ。 その中でもよく覚えているのは、 死亡事故が起こったときのこと。 バスとオートバイの正面衝突だった。 衝突音を聞いておじいちゃんが外に出た。 おじいちゃんを追いかけて外に出たら、 怖い顔をしたおばあちゃんに 「行ったらダメ!」と止められた。 翌日の新聞に、 事故のことが取り上げられていた。 そこで私の記憶は止まっている… 「ということは、 事故の音を聞いていたわけだ。」 先生は話し終えた私に そう言ったかと思うと、 「ドーン、ガシャーン!」 とおもむろに言った。 その瞬間、 私の記憶が蘇った。 事故の記憶はあったけど、 事故の「音」の記憶がなかったことに 初めて気づいた。 先生が「ドーン、ガシャーン」と 繰り返す中で14筋を取っていく。 先生は、 すでに治療の終わったAちゃんを呼んで、 6番(小腸系)を鍛える体操を 私に教えるように頼んだ。 Aちゃんは ピラティスのインストラクター。 キネシの調整に、 ピラティスの動きを取り入れている。 Aちゃんに促されるまま、 私は腰を壁にぴったりとつけ、 膝を直角に曲げて 「空気椅子」の姿勢になった。 本間先生もAちゃんも 空気椅子の姿勢だ。 6番OFFの私には、 この姿勢はかなりキツイ! 私の悲鳴を聞いて ナンシーもやってくる。 他の患者さんたちは帰っていて、 クリニックには私たちだけ。 ナンシーも一緒に、 4人で空気椅子に座って、 見えないハンドルを握り、 運転した。 和やかな空気が 私たちを包んだ。 「一人で運転する」は ONになった。 カナダに戻ってから 早速運転してみた。 片道20分ほどの場所だけど、 真っ暗な雪道の運転は緊張する。 家のすぐそばまで来たときに、 突然フラッシュバックが起こった。 子供の頃に聞いていたであろう 車と車がぶつかる衝撃音や、 パトカーや救急車のサイレンの音が 私の脳裏に鳴り響いたのだ。 赤いランプが鈍い光を発し、 事故関係者たちの話し声が聞こえる… 私の体は急激に緊張してくる。 隣に座っているパートナーのダビちゃんに、 小腸系のNLポイントをゴシゴシしてもらって その場をどうにか乗り切った。 キネシは遠隔もできるので こういうときは本当に便利だ! 今でも毎日空気椅子を続けているし、 スクワットもちょこちょこやっている。 普段運転する必要は全くないけれど、 自由に運転できるようになりたいもの。 家族で外出するときは、 積極的に運転している。 雪道の運転は慣れていないので、 まだ一人では運転していないけれど、 今は運転席に座るたびに、 治療室での空気椅子を思い出す… 本間先生の治療は、 ただの治療ではない。 治療の先に、 何かがある。 だからきっとたくさんの人が、 海や大陸を越えて ロサンゼルスまで 本間先生に会いに行くのだろう。 今日も雪道を運転した。 そして、家に戻ってから ロサンゼルス行きの航空券を予約した。 2月にもう一度、 キネシケアを受けます❤︎ キネシケア 91週間のキネシケアを受けて、 心も体もかなりスッキリした。 けれど、 本当の変化は、 キネシケア後に起こるのかもしれない。 キネシケアを受けて、 私は生まれ変わったかのように 感じているが、 私の変化は、 否応なしに家族にも影響する。 幸せいっぱいで帰国した私を見て、 パートナーのダビちゃんは、 「僕は不幸だ」と言った。 ダビちゃんは、 「あるがままの私」を見て、 自分が恐れに執着して生きていると 気づいたようだ。 「僕は自分の人生を 愛しているのだと信じていたよ。 でも、今の人生は、 僕が望んだ人生じゃない。 僕はまるで人生の奴隷だ。 人間社会が提示する、 『安全』や『幸せ』に執着している。」 結婚して8年。 いつもコミュニケーションを取り合い、 それぞれの夢と夫婦の夢が、 同じ方向であるかどうかを確認しながら 生きてきた私たち。 私はダビちゃんが夢を叶えるために、 いつでも仕事を辞めていいと いつも伝えていたのだけど、 ダビちゃんの中に 大きな恐れがあることも知っていた。 私たちには夢があって、 その夢を実現するために 実際に動き出しているのだけど、 もう一度その夢を見直さなければ。 「あなたはどう生きたいの? あなたの魂は何を望んでいるの?」 キネシケアでの 本間先生の言葉が頭から離れない。 答えはすでに自分の中にあるはずだ。 けれど、 それを拒絶しているエゴもいる。 ただわかっているのは、 「逃げちゃダメ」ということ。 自分が置かれた環境で、 愛と誠意をもって最善を尽くすのみ。 わかりきったシンプルなことなのに、 私の魂は激しく揺さぶられる。 私の中で 一体何が起こっているんだろう? 予期しなかった チャレンジがやって来る。 日の出の光に赤く染まる木々を ベッドの中から見つめながら、 心のざわめきを止めようと試みる。 「あなたの心の平安を 乱してはいけない。 起こることは、 必ず起こる。 起こらないことは、 どうやったって起こらない。 起こることは 必ず起こるのだから、 心を静かにして リラックスしていればよい。」 静かになった心に、 無言の言葉が響いた。 キネシケア 8キネシケアの魅力は、 本間先生の治療だけではない。 課外授業のときなど、 クリニック以外の場所でも キネシを行えるのは、 やっぱり楽しい! 本間先生やナンシーと一緒なら、 何気ないおしゃべりの合間でも、 腕を押されてしまう。 レストランやカフェでは、 Little Treeのアロマが大活躍! アロマがあれば、 速攻で癒しが起こるのだ。 「私、子供に 『ママ嫌い!』って言われると すごく落ち込んじゃうの。」 そんな会話も 筋反射でアロマを選んで即調整。 ちなみに、 この時はシャンチーの13番。 確かに「悲しみ」が強かったなと、 妙に納得。 帰国した今は、 子供たちの言動が 全然気にならなくなって、 日常生活がとっても穏やか。 激しい癇癪が起こるときでさえ、 穏やかで優しいママでいられるのは 自分でもビックリ! 今までだって 「ママ嫌い!」と言われても 笑顔で「I love you!」と答えていたけど、 自分がOFFのとき「 I love you」と、 自分がONのときの「I love you」は、 威力が全然違う。 自分のOFFに気づき、 アロマの香りを30秒ほど嗅ぐ。 私がやったのは、 たったこれだけ。 たったこれだけで 幸せなママになれるなら、 やらない理由はないでしょう? 「ママ嫌い!」をONにして、 「私は優しいママです」もONにしました。 意外とポジティブな言葉に OFFが出たりするもの。 (そういえば 「Masako 可愛い❤︎」もOFFだった。) ぜひ世界中のママたちにも、 この凄さを体験してほしいな。 もちろん、 ママだけじゃなく、 すべての人たちに! ますますキネシに魅了された、 キネシケアプログラムでした❤︎ キネシケア 7キネシケアを受ける前の私は、 自分の中に 魂がいないように感じていた。 自然の美しさを愛でるときでさえ、 ハートがキュッと縮こまっていた。 大好きな人たちに囲まれて、 夢に描いたすべてを手に入れて、 幸せそのもので生きているはずなのに、 ときどき「消えたい」という 強い衝動に駆られていた。 本間先生の治療を受けて、 「愛される」がONになって、 「愛する」がONになって、 「本当のMasakoでいる」 「魂のMasakoでいる」がONになって、 海で過去生の記憶を解放したとき、 生きる歓びが溢れてきた。 世界はとてもクリアで 色鮮やかなものになり、 存在するすべてに命の輝きが見えた。 「生きているって素晴らしい!」 「本当の自分でいるって素晴らしい!」 ハートの真ん中から 歓びがどんどん溢れてきて、 宇宙に、そして神様に、 私の気持ちを叫びたくなったほど。 歓びに包まれて クリニックへ向かっていたら、 前方から歩いてきた黒人男性が 突然立ち止まり、 姿勢を正して帽子を取り、 私に向かって敬礼した。 彼は何か言っていたのだけど、 残念ながら聞き取れなかった。 けれど、 彼の驚いたような、 今にも泣き出しそうな、 真剣な眼差しだけは ハッキリと覚えている。 彼は 一体何を見たのだろう? 私は彼の眼差しの中に、 神の姿を見た❤︎ キネシケア 6前回の続きです。 ・・・・・ 車はゆっくり走り出す。 私は昨日見た 悪夢の話を始めた。 みんなには どうでもいい話。 でも、 何か話していなきゃ 落ち着かない。 「カラスは神の遣い。 つまりメッセンジャー。 白い鳥ではなく、 黒い鳥が現れたから、 私に警告しているの。 リスは、 エネルギーを貯める存在。 これらの動物が 私の左腕にいたということから、 私の想いが 過去に偏りすぎていることを 警告していると思う。 でも、これは変わるはず。 動物たちが去った後、 服の左腕が引き裂かれていたから。 私を覆い隠している 過去生のエネルギーが、 バランスを崩すということだわ。 犬のような野生動物は、 暴走している私の想い。 私はそれを 止めることができなかったけど、 攻撃されなかったから、 過去の想いに翻弄されて トラブルが起こることはないはず。 3人の人間は、 私をサポートしてくれる人。 私1人じゃ無理だけど、 彼らのサポートを得て、 過去生の記憶を解放できると思う。 フェンスの向こうは、 異次元の世界。 穏やかな風景だから、 天国みたいなところかも。 つまり、 私は過去生の記憶と 決別できるってこと。 動物の右目が ムースのツノに刺さるのは、 私の視点が 大きく変わることを表している。 きっと 新しい視界が開けるわ!」 私の話に みんなが耳を傾けてくれる。 「ここに3人いるじゃん! その3人って、 きっと私たちのことだよ!」 みんなが笑う。 みんなの愛に包まれる。 窓の外には青い空が広がり、 椰子の木が風に揺れている。 縁って不思議だな。 またこの街に戻ってくるなんて。 苦手だったこの街が、 今はこんなにも愛おしい。 素敵なテラスで休憩した後、 車はLake Shrineへと向かった。 ここはインド出身の聖者、 パラマハンサ・ヨガナンダが 瞑想と祈りの場所として開いた聖地。 敷地の隣には道路があり、 車の往来が続いているものの、 木々や植物に囲まれたこの場所は、 驚くほど澄んだ空気に満ちている。 湖のほとりに立ち、 カモに呼びかける。 一羽のカモが近づいてくる。 私が呼びかけると、 面倒臭そうに返事をしてくれる。 しばらくすると 白鳥も近づいてきた。 最初は一羽。 それからもう一羽… 首を撫でようかなと思ったけど、 触れてはいけないような気がして 手を引っ込めた。 湖を離れて、 ビジターセンターへ向かう。 入り口の前で 見知らぬ男性が話しかけてきた。 「新しい友達ができたようだね。 僕は白鳥が 人間にこんなに近づくところを 初めて見たよ!」 ビジターセンターの中では、 本やCDなどが売っている。 日本語の本もある。 ヨガナンダの写真を見つけた。 ナンシーとAちゃんを呼んで 筋反射を取ってもらう。 聖者の写真を持って筋反射を取ると、 大抵のテーマはONになる。 たくさんある写真の中から、 小さな写真を一枚選ぶ。 私は本間先生に近づき、 右腕を差し出した。 「私は過去生を解放します。」 「私は『本当の自分』で生きます。」 結果はどちらもON。 私はその写真を買った。 自由に散策した後、 再び車に乗り込んで出発する。 次の目的地は海だ。 心臓がドキドキしてくる。 お腹にも緊張がある。 「みんなは私がアホみたいに 動物に話しかけていたと 思っているでしょ?」 私は早口でまくしたてる。 「私、ちゃんとお話ししていたのよ。 私の呼びかけに応えてくれたカモは、 過去生で大好きだった彼が 迎えにきてくれることを表しているの。 その後白鳥が来たでしょ? 白鳥は冥界の使者。 次元の扉が開くわ。 2羽いたから、 つがいということで。 過去生の私の願いは、 きっと叶うわ。 私は過去と ちゃんと決別できる!」 車は海へ着いた。 車を降りると潮風の香りがする。 空は雲に覆われている。 日の入りまで後少し。 ビーチに降りて、 裸足になる。 「Masakoちゃん、 先生につかまって!」 Aちゃんが私に促す。 先生とAちゃんに支えられながら、 私は海に入る。 ヨガナンダの写真を ギュッと握りしめた。 お腹の不快感がピークに達する。 私はなぜこんなに緊張しているの? 「ほら、鳥が飛んでるよ! ほら、波を感じなさい!」 過去生へと意識が飛ぶ私に、 先生は言う。 鳥が飛んでいる… 空が綺麗… 私は、 『今』に感覚を研ぎ澄ます。 先生が私の右腕を押す。 力が入らない。 ヨガナンダの写真を じっと見つめてみる。 やっぱりOFFのままだ。 「少し一人で海を見たい…」 私は波に揺られながら、 暗くなっていく空を見つめた。 見渡す限りの広い海。 過去生の私の想いが、 現世の私に重なる。 彼女の願いを 叶えてあげたい…! 私は心の中で、 現世を生きる彼に想いを寄せた。 「私のこと、 本当に覚えてないの?」 「『今』を生きているからね。」 彼の声が聴こえる。 私は無言で海を見つめた。 少しだけでいいから、 ほんの少しでいいから、 私を思い出して… 「ちょっとだけ思い出した。」 彼の声が聴こえた気がした。 私はじっと海を見つめたまま、 動けずにいる。 「気持ちいいよ。」 彼の声が心に響いた。 現世の私は泣き始めた。 ハートが溶けていくようだ。 私が誰だったか、 どんな姿をしていたか、 そんなことはどうでもいい。 過去生の私が 思い出して欲しかったこと。 それは、 私と一緒にいたときに彼が感じた 穏やかで幸せな感覚…! 私が聴いた彼の声は、 単なる幻だったのかもしれない。 でもこれで十分。 過去生の私は幸せに包まれた。 私は海の中で嗚咽している。 ハートがどんどん開いていく… 先生とナンシーとAちゃんが来た。 先生が私の右腕を押す。 まだOFFのままだ。 空はだんだん暗くなっていく。 過去生の私は待っていた。 夜の訪れを。 静かな暗い海の向こうから、 愛した彼が戻ってくることを。 「アロマでやってみましょうか?」 ナンシーが言う。 足を波につけたまま、 筋反射でアロマを選んでいく。 あるアロマに触れたとき、 筋肉にカチッと力が入った。 私には初めての 五徳のアロマだ。 「ポエムを読みましょうか?」 ナンシーは携帯を開き、 ポエムを読み始める。 ナンシーの声は聞こえるけど、 彼女の言葉はほとんど聴こえない。 「思いやり」という言葉が、 すーっと心に入ってきた。 この言葉が、 ぐるぐると私の中で回っている。 私は 現世を生きる彼を想った。 そして、 現世を生きる『私』を想った。 空はすっかり暗くなっている。 雲の隙間に美しい光が見えている。 先生は私の右腕を押した。 ONだった。 「大丈夫、 少しずつ過去と現在の 区別ができてくるから。 気づけるようになったら、 『自分』でいられる時間が 長くなってくる。」 先生はそう言った。 「ありがとうございました。」 ぎこちない感覚のまま、 私は先生にお礼を告げた。 「長かったよ!」 先生は私をちらりと見て、 笑顔でそう答えた。 ジーンズが びしょ濡れになっている。 砂が張り付いたまま、 ブーツを履く。 レストランへ向かう車の中で、 ふと考えた。 どうして ヨガナンダでもOFFだったのか? その瞬間、 答えが降りてきた。 「愛だったから」 そうか、 過去生の私の彼への想いは、 純粋な愛だったんだ。 宇宙の法則では、 愛に介入することは たとえ神であれゆるされない。 彼を想う愛に、 過去生の私は命を懸けたのだろう。 その愛が、 時空を超えて彼に届いた。 大宇宙の計らいに、 私の魂は揺さぶられた。 レストランに着いた。 筋反射でメニューを選ぶ。 私はピザを頼んでテラス席へと向かう。 私は席について 周りを見渡した。 テラスに灯る暖炉の火。 人々の笑い声。 車の走り去る音… 「先生、世界がクリアに見えます。 すべてが色鮮やかに見えます…!」 ハートが完全に開いたのがわかった。 私の内側から、 歓びが溢れてくる。 生きているって素晴らしい! 『私』でいられるって、 なんて素敵なの! 私が、 『私』に戻った瞬間だった。 キネシケア 5前回の続きです❤︎ ・・・・・ 過去生でいつも見ていたであろう 海の風景が視えている。 過去生の私の 切ない想いが胸を締め付ける。 現世を生きる彼を想ってみても、 途方に暮れるばかり。 「『今』にいなさい。」 本間先生の言葉が心に浮かぶ。 そうだわ、 私はまた過去に引きずられている… でも、 どうしたら『私』に戻れるの? シャワーを浴びると、 またタイタニックの歌が響く。 なぜこの歌が聴こえるのか、 不思議でしょうがない。 シャワーを出てYouTubeを開く。 タイタニックの歌を聴いてみよう。 イントロが流れる。 私は曲に集中する。 涙は出ない。 感情も揺れない。 もう一度聴いてみる。 別に何も感じない。 昨日はあんなに号泣したこの歌を、 冷静に聴ける自分に驚いた。 調整の効果が出ているようだ。 少しずつではあるけれど、 『本当の私』に近づいてきている… 心も体もひどく疲れている。 眠ろうとするけれど、 すぐに目が覚めてしまう。 やっと眠れたと思ったら、 悪夢を見て目が覚めた。 「嫌な夢、見ちゃった」 時計を見ると午前3時だった。 あまりにも鮮烈な夢に、 心臓がドキドキしている。 見たばかりの夢を 詳しく思い出してみる。 その夢はこうだ。 私の左腕に、 一羽のカラスと 一匹のリスが乗っている。 彼らが私の腕を去ったとき、 私の服の左腕の部分が ビリビリに引き裂かれていた。 私は破れた袖を見ながら 歩き始める。 左手に、 動物園の檻のような 背の高いフェンスがある。 そのフェンスに沿って 私は一人で歩いていた。 後方から、 動物が猛スピードで走ってくる。 実在する動物ではないが、 少し凶暴な野生の犬といった感じ。 その動物は、 ものすごいスピードで走っている。 「止めなきゃ…!」 私は振り返って その動物を止めようと両手を広げる。 動物は私に向かって 飛びかかる。 「噛まれる…!」 そう思ったが、 動物は私に攻撃を加えずに、 私を通り越して走っていった。 前方を見ると、 3人の人間がいる。 彼らが止めてくれればいいのに。 フェンスの反対側には、 たくさんのムースがいた。 のんびりと草を食べているものや、 ゆったりとくつろいでいるものなど、 穏やかで和やかな雰囲気だ。 前方にいる3人が、 動物を捕まえた。 彼らは3人がかりで動物を持ち上げ、 フェンスの向こうへ動物を放り投げた。 動物は大きく宙に浮かび、 真っ逆さまに落ちていった。 一頭のムースのツノに 動物の右目が突き刺さり、 串刺しの状態でその動物は即死した。 「見なければよかった…」 呆然としているところで 夢は終わったのだった。 私の心臓は まだドキドキしている。 このまま 朝まで眠れそうにもない。 心を落ち着かせて、 夢を解いてみる。 一見悪い夢のようだけど、 もしかしたら、 とても良い前兆かもしれない… うつらうつらしながら 朝を迎えた。 今日は課外セミナーだ。 海にも行く予定になっている。 目を覚ますために 熱いシャワーを浴びた。 天気予報をチェックして、 出かける準備を始める。 ナンシーから メールが来ている。 ナンシーは、 クリニックで働くスタッフの一人だ。 患者さんの応対や事務の他に、 DEEPゼミやキネシケアの アシスタントをしている。 彼女は体調を崩していて、 ここ最近見かけなかった。 今日は一緒に出かけれるようだ。 良かった! 待ち合わせの時間になった。 先生が私たちを迎えにくる。 ナンシーとAちゃんは、 後部座席に座った。 「Masakoさんはここね。」 先生はそう言って 助手席を指す。 今にも泣き出しそうな 気持ちを堪えて、 笑顔で車に乗り込む。 「先生、おはようございます!」 元気に挨拶をする私を見て、 先生は笑顔で言った。 「じゃあMasakoさん、 今日は過去生を解放しようか!」 ・・・・・ 次回へ続きます❤︎ キネシケア 4前回の続きです❤︎ ・・・・・ 過去生の記憶という 強烈な感情を体験し、 心が揺さぶられている私。 ホテルに戻ってから Aちゃんにメールする。 彼女はDEEPゼミの仲間だ。 今回2週間のキネシケアを受けに ロサンゼルスに来ている。 Aちゃんに話を聞いてもらう。 とりとめのない内容なのに、 優しく話を聞いてくれる。 彼女がいてくれて、 どれだけ救われただろう! 散歩に行く予定だったのに、 私は動揺しすぎて 散歩できる状態じゃない。 それでも 話を聞いてもらっているうちに、 少しずつ落ち着いてきた。 屋上のテラスでランチを食べて、 散歩に出かけることにした。 ロサンゼルスの市庁舎は、 リトルトーキョーから歩いてすぐ。 私たちは、 27階にある展望台に向かう。 27階に着いて、 Aちゃんに筋反射を取ってもらう。 高所恐怖症のチェックだ。 恐怖は感じないけど、 足がすくんでしまうのだ。 結果はOFF。 任脈のNLポイントに手を当てて 筋反射を取るとONになる。 任脈を調整して外に出てみる。 風が気持ちいい。 高所恐怖症の調整は 3分ぐらいしか持たなくて、 何度も任脈を調整する。 お腹に不快感があるから、 小腸も調整してみよう。 たったこれだけで 足がすくまなくなるなんて、 キネシオロジーは本当に便利だ。 ロサンゼルスの街を眺めながら、 いろんな想いが浮かんでは消えた。 過去生の想いが、 私の全てを包んでいるようだ。 午後の治療のテーマは 何にしよう? どんな顔して 先生にあったらいいんだろう? ホテルに戻って 午後の治療に向かう準備をする。 そういえば、 今日は治療レポートの宿題を もらってないな。 先生も 疲れただろうな… 迷いがあるまま クリニックに着いた。 毎日のように 治療で大泣きしているから、 スタッフに顔を合わせるのが ちょっと恥ずかしい。 Aちゃんの治療が終わり、 私は治療室に入る。 先生に何を話したのか、 よく覚えていない。 その日の治療のテーマでさえ 思い出すことができない。 覚えていることは、 一つだけ。 それは、 現世の私よりも、 過去生の私の方が 比重が大きいこと。 「あなたは今どこにいるの? 何をしているの?」 先生は私に聞く。 「ロサンゼルスの ベストクリニックで、 本間先生の治療を受けています。」 「そうそう、ここはロスだ。 ちゃんと『今』にいなさい。」 「あなたは『今』何をやりたいの?」 先生が聞く。 海が視えている… 「海が見たいです。」 「それは『今』の あなたじゃないだろう? あなたが本当にしたいことは何?」 やっぱり海が視える… 「海に行きたい…」 私にはわかっていた。 海を見たいと願うのが、 『私』ではないということが。 「心が張り裂けそうです。」 たまらなくなって、 先生に伝える。 「大丈夫。 心は張り裂けないから。」 先生は、 何か考え事をしているようだった。 私は私の肉体のすべてで、 過去生の『私』を生きている。 時空を超えて生き続ける、 彼女の想いを生きているのだ! 現世の私は想う。 彼女の願いを叶えてあげたい、と。 過去生の私が放つ想いには、 恨みや苦しみは全くない。 もちろん、 最愛の人を亡くした 悲しみは強烈だけど、 それよりも何よりも 純粋な愛がそこにはある。 彼女の願いはただ一つ。 「もう一度彼に会いたい!」 過去生の私は生まれ変わり、 現世の私は 現世を生きる彼に出会った。 現世の私は それを思い出したけど、 彼は私のことを覚えていない。 彼女の願いは、 現世を生きる彼の心に 届くのだろうか…? 「明日、海にも行く予定だよ。」 先生が言った。 次の日は課外セミナーだ。 海を見たら、 過去生は癒されるのかな…? ホテルに戻ってからも、 私の心は彷徨ったままだ。 私は 『私」を生きていただろうか? 子供の頃の記憶を呼び覚ます。 海を見ている私を見ている、 もう一人の私がいる。 私の肉体には、 まるで2人の人間が 宿っているみたい。 現世の私と、 過去生の私が、 交差しながら生きていたの…? 『私』であろうとするのに、 すぐに過去に引き戻されてしまう。 それにしても滑稽だ。 現世の私は、 現世と過去生を同時に 見ているけれど、 他の人にはそれが理解できない。 自分の体験していることが、 愚かなことのように思えてくる。 生まれ変わった現世の彼に、 「私を思い出して」なんて、 ありえない! ・・・・・ 次回に続きます❤︎ |
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